山線(長万部‐小樽)リバイバルプラン



余市‐小樽は昼1時間に1本もなく、市街地内に余市と小樽の2駅のみです。
鉄道より所要時間の長い並行するバスは4倍近くの運行本数です。
それですらコロナ禍前に2,000人/日を上回る輸送密度でした。
そんな鉄道を本当に失って良いのか?
利便向上により地域に役立つ交通システムにできるのでは?

120年近くの歴史や昭和のノスタルジーといった情緒論ではなく、
数値と合理的な考察に基づいて綴りました。

(株)ライトレール 初稿2022.1.5初稿、最新改訂2024.2.4、新しい情報ほど上に掲載
YouTube【北海道の鉄道を活かそう!】は別ページへ移しました。

2022.3.28-2024.2.5 『後志よみうり』に連載『山線リバイバルプラン』96回
『後志よみうり』は毎週発行され、小樽市を除く後志管内で販売の読売新聞に折込まれます。
2022.3.28の週発行号〜2024.2.5の週発行号に連載しました。
当初は『並行在来線リバイバルプラン』と称し、71から『山線リバイバルプラン』へ改めました。

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2022.4.27 北海道新聞インタビューにて藻谷浩介氏が「山線廃止は北海道100年の計を誤る大失敗」
『並行在来線廃止 地域交通のあり方は』にて日本総研の藻谷氏と北大の岸教授が論考を述べました。Facebook(友だちのみ)
 ・藻谷氏:ラッシュ時の国道5号の渋滞は深刻化し多くの人の貴重な時間が失われる
 ・直通バスで札幌へ行く人、札幌に下宿する高校生も増え、小樽市の求心力は下がる
 ・開拓の始祖たちによる血と汗の産物である鉄道を安易に廃止するとなれば残念
 ・岸教授:鉄道維持のための巨額の財政負担ができるかとなると、残したくても残せない
 ・バスのネットワークの再構築により利便性の高い公共交通を作れる
 ・新たな拠点は鉄道駅に残す必要はなく、都市計画と連動した公共交通網を
道新小樽報道部のツイート

2022.4.3 マイナビニュース(杉山淳一 氏)
『函館本線長万部〜小樽間廃止、必要な路線が消える交通行政の不条理』と題し、以下の論考はなるほどです。
 ・理由は「鉄道よりもバスが便利だから」ではなく「鉄道存続に国の支援がないから」
 ・JR北海道が「当社単独で維持困難な線区」に分類した2,000人/日を超えている
 ・余市〜小樽間の鉄道廃止は悪しき前例となってしまう。まだ間に合うなら再検討してほしい。
一方、「余市〜小樽間は観光客を中心に、利用者が増える可能性があるはず」と書かれていますが、余市‐小樽には日常使いでも多くの移動ニーズがあり、今の不便な鉄道よりバス(多くは線路近くの駅のない箇所と小樽駅・札幌の行き来)の方が利用が多く、マイカー利用はさらに圧倒的な人数です。JR富山港線(低利便で利用はジリ貧)〜富山ライトレール(利便向上して利用は激増)等の事例から推測すると、今の低頻度・少駅のままでは利用はジリ貧で、高頻度化・多駅化すれば数倍の利用になります。

2022.3.27 後志ブロック会議
北海道新聞の記事3/27,28付によると、長万部‐小樽全線の鉄路廃止とバス転換が決定し、その実施時期の前倒しを検討することとなりました。そうなるとJR北海道の赤字回避分を地域の公共交通の充実に投ずる議論となり、バスには投じられて鉄道には投じられない道理はありません。利便向上する財源はあるのですから、利便向上したバスと利便向上した鉄道を比較考量して判断すべきではないでしょうか。Facebook(友だちのみ)

2022.3.26「余市・小樽間」個別協議
終了後記者会見の結果概要10ページが協議会HPに掲載(余市町HPからはリンク切れ)されています。以下の整理となっていますが、既に記したように、前提を改めることで数値は大きく異なります。収入は大きく増え、経費は大きく減ります。中川副学長の寄稿のように、協議会の試算は地域鉄道路線の平均的な赤字額よりもかなり大きいものです。
 ・巨額な初期投資や将来にわたり多額の運行経費
 ・新幹線札幌開業時の推計では1,493人に減少
 ・あらゆる手立てを講じたとしても大幅な収支改善は見込めない

2022.3.24 北海道新聞に寄稿(中川大 富山大副学長)
『並行在来線問題 地域交通再生の機会に』と題し、電子版には掲載されず、主な論考は以下です。Facebook(友だちのみ)
 ・公共交通の将来を自分たちで決めることができる絶好の機会
 ・地域にとって重要なのは、鉄道の収支ではなく「地域にとっての価値」
 ・地方自治体と鉄道事業者が一体となって、より便利な路線として再生した事例
 ・採算はとれないが「社会にもたらす価値が運行に必要な経費を上回る」という考え方で存続
 ・交通事故の減少や道路の渋滞緩和にもつながって、鉄道を利用しない人にも価値
 ・価値を合計し必要な経費と比較して税金を投入する価値があるか「費用便益分析」
 ・示された収支の試算値は、地域鉄道路線の平均的な赤字額よりもかなり大きい
 ・地域の公共交通の将来に向けてさらに分析を行ってから決めてもよいのでは

並行在来線リバイバルプラン
表紙+18ページ版(2022.3/2改訂)です。新幹線札幌延伸時まではJR北海道からの経営分離前倒しによる赤字回避分を実行財源とし、札幌延伸後は鉄道もバスも自立経営を目指します。
 1.基本的な考え
 2.新幹線札幌延伸までの実施事項
 3.新幹線札幌延伸後に向けた実施事項
 4.解決すべき課題
 5.道庁による余市‐小樽の鉄道存続の検討
 6.本プランの収支試算と資金調達
 7.将来の鉄道とバスの速達化のポテンシャル

2022.1.22 北海道新聞に寄稿((株)ライトレール 阿部等)
『山線運営3セクが継承を 経営前倒しで財源確保』と題して寄稿が掲載されました。主な論考は以下です。Facebook(友だちのみ)
 ・新幹線開業に伴う観光客と雇用の増大、採算が改善され地域貢献も大きい新たな公共交通網に
 ・余市‐小樽の沿線には住宅街、余市は後志管内町村部と小樽・札幌とを結ぶ交通の要衝
 ・鉄道駅と運行本数を増やして利用者を鉄道に誘導、バスは余市駅を乗換え拠点に
 ・JR北からの経営分離を前倒し、赤字回避分を三セク鉄道会社とバス会社の運営資金に
 ・リスクを最小とするため、期限を切って運営継続の是非を判断
 ・観光客らに吹雪の凍結路でレンタカーを運転させるようではいけない

並行在来線リバイバルプランの基本的な考え
1ページの『1.基本的な考え』(2022.1/11時点)です。
 (1)早期の期限を切った試行による判断
 (2)実行財源は赤字回避分
 (3)余市‐小樽は鉄道の活用
 (4)長万部‐余市は前向きなバス転換
失敗しても大きな損害が生じないよう試行による判断を提案し、実行財源も考案しています。長万部‐余市は、現時点では前向きなバス転換として利便向上(鉄道よりはるかに少ないコストで圧倒的に便利にできる)し、新幹線札幌延伸後に来訪者や雇用・人口の増大に合せて復活させます。

余市‐小樽のポテンシャル
小樽市内は線路沿いに市街地が広がり、余市は小樽・札幌と近接するとともに後志北部の要衝であり、余市‐小樽は都市鉄道となり得る立地環境です。富山ライトレール等の事例から、高頻度化・多駅化と余市拠点のバス充実により利用は大幅に増加し、地域の活性化に貢献できると充分に予想されます。また、現行の鉄道は余市‐小樽の列車を片道運行するのに6万円を要する高コストとなっており、テクノロジー投入により安全維持しつつ縮減できる余地がおおいにあります。

試算の前提を改めることで結論は異なる
道庁による試算は以下を前提としているので、利用はジリ貧となり、莫大な赤字となり、地域の活性化に貢献しません(=税金投入の意義なし)。
 1)低頻度・少駅かつ路線バスと連携していない現状を継続
 2)社人研の新幹線効果を考慮していない人口激減の予測を前提に
 3)鉄道の運転人件費・車両費・設備保守費の縮減策を検討せず
前提を改めることで採算性も地域貢献も大きく異なります。

2021.12.27 後志ブロック会議
北海道新聞の記事12/27付によると、鉄道存続は莫大な赤字になるとの道庁試算に基づき、全線バス転換に向けた動きが加速しています。関連する9市町の中で、4町が全線バス転換を支持、4市町が態度を保留、余市町のみが余市‐小樽の鉄道存続を主張しました。

北海道新幹線並行在来線対策協議会
北海道新幹線は2030年度に札幌延伸の予定で、並行在来線である函館線の函館‐小樽はJR北海道から経営分離されます。沿線の地域交通の確保等に関する協議が進んでおり、道庁HPに配布資料・議事録等が掲載されています。貨物列車が運行しない長万部‐小樽は、道南いさりび鉄道等にて支給されている貨物調整金が支給されず、9市町が参加する後志ブロック会議にて早期の方針決定を目指しています。