開催案内
第5回の講師は、大東文化大学副学長の今城光英氏です。鉄道の経営問題に関して多数の研究実績を持たれ、特に『鉄道ピクトリアル』と『運輸と経済』にたびたび掲載された大手及び中小の民鉄経営者との多数の対談は、鉄道経営を研究しようという者には必読です。
以下、今城先生ご本人からの当日のお話に関するご紹介です。
日本の鉄道は、私企業により運営されている比重が高いことが一つの特徴と言われてきました。国鉄改革においてもこれが強調され、当時のサッチャー政権でさえ私鉄を賞賛しています。しかし、私企業による鉄道経営は今日決して安泰ではありません。
都市部の私鉄は、郊外住宅地開発とその開発利益の還元によって新線建設費用を回収してきました。これは阪急の小林一三が構築したビジネス・モデルですが、オリジナルは、米国のサバーバン・インターバンに求められます。米国ではモータリゼーションの早期の進行と独禁法の厳格な運用によって、これらの会社は成長の機会を奪われましたが、日本では稠密な都市構造に支えられて今日まで生きのびてきました。
しかし、すでに開発適地が枯渇し、従来型の開発利益の還元は不可能となっています。同時に、国際基準に適応することが求められるようになり、連結経営への移行と、それに伴うコア・コンピタンスの重視が進行しています。鉄道と不動産を車の両輪としてきた私鉄のビジネス・モデルは崩れつつあります。
一方、地方の私鉄は、地域の社会的インフラを自らの資金力に応じて共同で獲得するという趣旨で株式会社が設立され、「公益に従ひ義侠に生きる」精神で建設されてきました。歴史的に見れば補助金を含めて国の関与は少なくありませんでしたが、近年は先進国に共通する財政破綻の影響を受けて国の援助が期待できなくなり、地方自治体と住民に維持の責任が移行しようとしています。かつての地方私鉄を支えた地域における素封家層の解体も無視できません。
このように、都市と地方を問わず、私的資本による鉄道の整備は重大な岐路を迎えています。現状を的確に把握するとともに、今後を展望する実りある議論ができれば幸いです。
■テーマ
私企業による鉄道経営は将来も成り立つか
■講師
今城光英(いましろ・みつひで)氏
大東文化大学 副学長
1949年、東京都生まれ。成蹊大学経済学部卒業、同大学院経営学研究科博
士課程単位取得。運輸調査局研究員、大東文化大学講師、助教授、教授、
スターリング大学客員教授、大東文化大学経営学部長を経て2006年に現職
著書 『鉄道改革の国際比較』1999年
The Privatization of Japanese National Railways. 1998年
『地方鉄道の再生−英国における地域社会と鉄道』(翻訳)2006年
■日 時
2007年7月23日(月) 19時(5分前までに集合下さい)
■場 所
株式会社ライトレール
会議スペース(池袋駅西口から徒歩約6分)
■タイムテーブル
19:00〜19:40 今城氏による講義
19:40〜20:00 参加者の自己紹介
20:00〜20:10 休憩(軽食を用意します)
20:10〜21:00 講義+ディスカッション
21:00〜22:00 懇親会(同会場にて希望者のみ1,000円会費)
■参加対象者
交通に関わる業務に就いているまたは就くことを希望している人
■参加費
社会人3,000円、学生1,000円
■参加者への特典
先生のご厚意により『地方鉄道の再生』(翻訳、5,670円)をプレゼント
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